病院では、House Supervisorと呼ばれる師長さん(看護管理者)が病院全体の病床管理をしている
救急に来た患者さんで、入院が必要な患者さんを収容する病棟を探す
病棟で急変した患者さんを一般病棟からICU(集中治療室)に移す時に、どのベッドが空いているかを探す
だから、House Supervisorは、携帯を抱え病院全体を上へ下へと移動し続ける
空床探しだけではない
ナースの数が足りない、出勤してくるはずの人がまだ来ていない、もう一人ナースが必要になった、というときに、どこかからかナースを探してくる
PICC Lineと呼ばれる特別な点滴の管を入れる必要ができた患者さんがいると、PICC Lineの認定を受けたナースを探してくる
他にも、器械が足りない、他の部署とのトラブルなどの対応で忙しい
1シフトで最低2回くらいは病棟に上がってくるので、みんな顔を知っている
頼りにもしている
だから、House Supervisorは「ハウススーパーバイザー」と呼ばれる代わりに「ハウススープ」と省略して呼ばれる
問題がおきたとき、“Call the House Soup!”というように
何かの特製スープみたい^^
おいしそぅ?
ちなみに、レストランで
“Soup on the House”(スープ オン ザ ハウス)とウエイターさんがスープをテーブルの上に運んでくることがある
こういう時は、「あれ?頼んでいませんよ」と言わずにありがたく受け取ったほうがいい
レストランからのサービスのスープなのだ
ところで、「ハウススープ」のほうだが…
日曜日の朝 Day Shiftで出勤
Staffing List(そのシフトで働くナース、助手、クラークの名前が病棟別に記されている)を見ると、ナース5人しかいない
また、Charge Nurseがいない(ため息)
うちの病棟は5:1なので26床に5人のナースとチャージナースが一人、ということになっている
26人目の患者は、退院する予定のある患者などを選びチャージナースが受け持つことになる
朝の、退院予定患者の退院が確定していない段階で25床
ナースひとりが5人受け持って、配置はいっぱいだ
しかもチャージナースがいないから、Short Staffing
そこへNight ShiftのHouse Soupが “You will have an ER admission.”と電話をしてきた!
救急室から一人、うちの病棟に入院させる、というのだ
待て待て?
25床で5:1看護、5人しか日勤のナースがいないのにもう一人取れ、とはどういうことか?
まさか、ハウススープほどの管理者が、単純な割り算ができない?
夜勤のBreak Relieve Nurse(患者を受け持たずに、各ナースが交代で休憩に入る間、そのナースの患者のケアをする、他に病棟全体を把握しアサイメントを作ったりもするリーダー)は、そのリーダー業務をすっかり放棄していて、House Soupの電話の対応にも応じない
どうやら夜どうし、たくさんの入院を受け入れて疲れきっているらしい
仕方なく、tisaneが電話に出て事情を説明する
25人で5人しかナースが日勤で配置されていないので、26人目は取れません
ところが、House Soupは「夜勤のBreak Relieveに救急からの申し送りを取らせればいい」と言う
申し送りを受けたら最後、患者さんは病棟に搬送されてくる
それでは、申し送りを受けた夜勤のBreak Relieveが残って、代わりのナースがくるまでその患者のケアをする、ということですか?
うちは、チャージナースすら配置されていないのですよ
5人のナースが休憩にいけるかどうかも分からないのですよ
するとHouse Soupは「夜勤のBreak Relieveが残らなくてはならない、ということではない、強制はしていない」と言う
強制はしていない? しているようなものだ
入院患者の看護はだれがするのか
どう考えても、数が合っていない
残らなくてもいいって、誰が26人目を看るのですか?と聞くと
「もう一人ナースがくるまで、誰かが、6人受け持てばいい」とHouse Soup
5:1は、州の法律で決まっている
それは管理者として知っているはず
しかも「誰か」がくるという確信もない
どうせ、スタッフィングオフィスがあちこち休みのナースに電話をして探しているのだ
今日は日曜日 何時間も「見つからない」ことだってある
しばらく、House Soupとtisaneの押し問答が続く
その間、なんとHouse Soupはもう一つの電話で(こちらに聞こえよがしに)救急に「6階に申し送りの電話をしていいから」と話すではないか!
こちらは承知していない 強行突破だ
案の定、病棟のほかの電話が鳴り、救急室からの申し送りだ、と言う
夜勤のBreak Relieve、夜勤のナース数人、日勤のナース、それにクラークまでが集まって「誰がレポートをとるのか」でもめている
それまで静かだった病棟が騒がしくなった
外野は「26人目は取れない!」と口々にガヤガヤ
Break Relieveは「私は残りたくない!」と怒ってばかりで、ちっとも問題解決をしてはくれない
いつも週末にチャージナースをしているナースが出勤してきた
「この電話に対応してくれる?」と頼んだが、Noの一言
I care ONLY my five patients!
今日はチャージナースじゃないから、チャージナース業務は一切しない、自分の受け持ち5人のことしか関わらない、というのだ
私だって、5人の受け持ちがある
それは、どうなる?
病棟の師長は週末は休みだが、対応できない問題が起きたときは連絡していいことになっている
クラークに頼んでポケベルを鳴らしてもらう
2回、3回、鳴らしても、応答がこない
その間に、数時間残ってくれそうな夜勤のナースを探す、がみな首を横に振るか両手を挙げている
しかも、3人目の助手が必要なのに、その名前もない
助手も一人足りない
そして、病棟で薬のリストを患者別に印刷するプリンターも壊れた
80枚にも及ぶ大事な薬のリスト
申し送りにも必要だし、薬を配る時間までにはどうしてもなくてはならない
さらに、7:15、5人目のナース、Shellyがまだ出勤してきていない
さっそくスタッフィングオフィスに電話をして、Shellyに電話するか、もう一人ナースを病院内から探してもらうように頼む
もう、病棟は問題だらけ
えっ?5人目がきていないって、もしかして、これは天の恵み!!
ナースが5人いないということは、26人目の患者を受け入れる必要がない!
House Soupは5:1でありながら、5人のナースのだれかに6人受け持て、と言っているのだ
現段階で、25床に4人しかナースがいないのだから、「26人目を取れ」と言っている場合ではなくなった
ありがたい!
人数が足りなくて、これほどありがたいと思うことは、後にも先にもないだろうナ
ちょっとお調子者のShellyちゃん、遅刻してくれて本当にアリガトウ(口には出さないけど、心から感謝していま~す!)
嬉々としてHouse Soupの携帯を鳴らすtisane
“We even do not have five nurses, Shelly has not showed up! We cannot accept the admission at this moment!!”
これで、ジ・エンド
House Soupは大きくため息をついて
「私が救急に電話するわ、スタッフィングオフィスにも、Shellyに連絡するように言うから、すぐに代わりを探すから」
さっきまでの強気な声とはうってかわって、しょぼ~んとしている
最初から、無理だったのだ、26人目の受け入れなんて
他の病棟を探すか、うちの病棟から患者を一人他の病棟に転出してから、救急を受け入れるように手配すればよかったのだ
House Soupのおかげで、6時40分から7時20分までずいぶん時間を無駄にして、労力も使わせていただきました ほっ
5:1の州法を知りながら6人目を受け持たせようとした管理者
6人目を受け持ってミスでもしたら、自分の看護師免許だって危なくなる
ポケベルを鳴らしても、応答してくれなかった師長
休みだから、仕方ないか
自分の受け持ち患者しか関心がない、と言い切った週末のチャージナース
Break Relieveとしての役割を放棄してアサイメントも作らずHouse Soupとの対応もしなかった夜勤のリーダー
管理者って、リーダーって?と考えさせられる 朝
ちなみに、Supervisorは
Any individual having authority in the interest of the employer to hire, transfer, suspend, lay off, recall, promote, discharge, assign, reward, or discipline other employees.
という定義になっている
敵 味方、ではなく アメとムチを上手に使い分ける「管理者」であってほしい
Recent Comments